先週、都内で開催された WalkMe On Tour Tokyo に参加してきました。
自律型AIの台頭で企業のAI投資が加速する一方、「日常業務でエンタープライズAIを有効活用できている従業員はわずか8%」というデータが示す通り、現場の定着化(Adoption)に課題を抱える企業は少なくありません。
セッションや先行企業の事例を通じて強く実感した、今後のエンタープライズDXの要点を3つにまとめます。
1. APIの限界を超える「UIネイティブエージェント」
企業の全業務フローのうち、公開APIで接続可能な領域は約29%にとどまります。レガシー基幹や独自開発システム、外部ポータルなど「APIが存在しないシステム」の連携こそが自動化のボトルネックでした。
WalkMeが提示したアプローチは、UIそのものを接続レイヤーとする「UIネイティブエージェント」。
大規模なアドオン改修を行わず、既存画面上でエージェントが自律的にタスクを代行することで、セキュリティや監査証跡を維持したまま、業務の分断を即座に解消できる点に大きな可能性を感じました。
2. 「部分最適」から「全体最適(自律型エンタープライズ)」へ
従来のシステム構築は部門ごとの個別最適になりがちでした。しかし、これからの競争優位は、全社データがリアルタイムに統合され、複数領域(調達・財務・製造・サプライチェーン等)をAIエージェントが横断して自律判断・行動する「Autonomous Enterprise」にあります。
AIアシスタント(Joule等)が頭脳となり、WalkMeがUI上の「手足」となってシームレスに連携する世界観は、今後のERP活用の決定的な潮流になると確信しました。
3. 現場定着を成功させる実践アプローチ
登壇企業の実践知に共通していたのは、以下の3点です:
- 標準機能+DAPの徹底:過度なアドオン開発を避け、標準画面の分かりにくさをDAPで補完(システム改修コストを大幅抑制)。
- 問い合わせ削減と業務効率化:マニュアル更新頼みを脱却し、画面上のプロアクティブな誘導で問い合わせを約8割削減。
- スモールスタート&アジャイル改善:対象スコープを絞って短期間で実装し、現場のリアクションを見ながら迅速に改善を回す。
どれほど優れたAIツールを導入しても、現場の行動変容が起きなければROIは生まれません。
「人がシステムに合わせる」時代から、「AIとUIが人の文脈に寄り添う」時代へ。今後のERP導入・業務変革の現場にも、この視点を積極的に反映していきたいと思います。